春のうららかな日差しが注ぐ大川内山で行われる「鍋島藩窯 窯元市」は、肥前が日本遺産に認定されたことを記念し、2016年に始まりました。350周年となる2025年は、29の窯元による美しい鍋島焼をはじめ、県内外から集った飲食店が例年以上の数で立ち並び、大川内山の豊かな自然の風景とともに、里山を愉しむことができます。

2004年より始まった「伊万里風鈴まつり」から「鍋島藩窯 風鈴市」として、今年からリニューアルいたします。鍋島焼の夏の風物詩として定着してきており、個性あふれる29の窯元を中心に作られた風鈴の数は、昨年からさらにボリュームアップした約3000個となり、それぞれの店先を彩り、深緑の山々に囲まれた大川内山に涼しげな音色を響き渡らせます。

昨年まで開催されてきた「ボシ灯籠まつり」から「鍋島藩窯 あかり夏祭り」として、今年からリニューアルいたします。歴史と伝統が息づく大川内山に幻想的な灯りをともす、夏の風物詩です。佐賀県内や伊万里市内の飲食店が立ち並ぶ中、三方山に囲まれた大川内山らしい山間の風景と夜空を、窯詰道具である「ボシ」を用いた灯籠の光が照らし、訪れる人々を魅了します。

350周年を迎える鍋島焼の里、大川内山で初めての開催となる「夜の窯元市」では、昼間とは異なる夜の大川内山に、ボシの灯りとともに、29の窯元が企画した鍋島焼の展示・販売が立ち並びます。鍋島焼の魅力をより身近に感じることができるほか、怪談イベントなど、夏ならではの体験が用意されております。

鍋島藩窯 献上登り窯は、17世紀〜19世紀にかけて肥前の鍋島藩によって運営されていた、350年前から現代まで継承し続ける、大川内山の伝統文化です。
現在、当時の技術と精神は多くの職人によって受け継がれ、鍋島焼の美が今も息づいています。歴史と伝統が刻まれた登り窯を訪れることで、鍋島藩窯の文化と高い技術力を感じることができます。

鍋島藩窯の伝統を守り続ける「鍋島焼 献上の儀」は、江戸時代に将軍家や諸大名への献上品として作られてきた鍋島焼の精神を現代に伝えるための重要な儀式です。この儀式では、平成元年から鍋島藩窯 秋祭りの一環として、全国の名城所在の首長や各県知事、県内の市長等に、鍋島焼の献上を行ってきました。鍋島焼の誇り高き歴史や文化、技術が今なお息づく瞬間を体験できます。

紅葉が美しい季節に開催される「鍋島藩窯 秋祭り」は、鍋島焼の魅力と歴史を堪能できる大川内山の一大イベントです。これまで鍋島焼文化を継承してきた先人たちへの感謝をこめて、約42年前から行っております。他のイベントとは一味違う、鍋島藩窯の歴史が息づくこの地ならではの特別な体験が多数用意されており、伝統の技術に触れながら、秋の風景とともに鍋島焼の美しさを味わうことができます。

鍋島焼の歴史と伝統を受け継ぎ、未来へと伝える「鍋島焼 献上奉納式」は、大川内山で行われる厳かな行事です。奉納式では、鍋島焼の伝統を象徴する作品（瓶子）を、佐賀藩の時代から続く「献上品」として、佐賀藩9代藩主・鍋島直正公が祀られる「日峯社」へ奉納し、その技術や精神を未来へ繋いでいくことを祈念します。

大川内山の先人たちが眠る「無縁仏」で毎年執り行われている「筆供養」は、職人が陶磁器の絵付けなどで役目を終えた筆に敬意を払い、その魂を鎮めるとともに、新たな創作へ祈りを捧げる大切な行事です。職人が長年愛用し、日々の創作を支えてくれた筆に感謝を捧げる機会であり、このような「感謝」するという想いや行為も、次世代へ継承していきたいと考えております。